加賀友禅の振袖や訪問着の値段は?値段が変わる3つの理由を紹介!

赤裸々解説!加賀友禅の値段は?値段が変わる理由も紹介!
★この記事におすすめの方!
  • 加賀友禅の値段が気になる方
  • 加賀友禅の購入/レンタルを検討している方
  • 安物ではなく本物の着物をお探しの方

皆様、着物の購入やレンタルを検討する際、加賀友禅の着物は必ずと言っていいほど候補に上がりますし、一度は検討する方も多いかと思います!

ただ皆様そうですが、漠然と『加賀友禅は高い』『高級品だから私が買うのは違う』と思われていることも事実です。そう言った方々に、金沢で60年以上加賀友禅を筆頭に高級呉服と言われる着物を取り扱ってきた呉服店の店主が、赤裸々に加賀友禅の値段や他着物となぜ値段差があるのか、について説明していきます!

加賀友禅染めの着物
着物女性イラスト

金沢着物女子

確かに、自分が買ったりするのは違うんじゃ無いかなと勝手に思ってた笑

今回は加賀友禅の値段に焦点を当てた内容を記載しているので、加賀友禅の歴史や魅力、友禅作家さんについて知りたい方はこちらの記事を併せて読んでみてください。

加賀友禅の値段は?

それでは、加賀友禅の値段について説明していきます。

加賀友禅といえど、ものによって差はありますが、振袖を購入する場合、大体100万円前後、訪問着は、大体70万円前後だと思っていただいて問題ないかと思います。

ただ、ものによっては振袖の値段が、300万や400万円するケースもありますし、有名な友禅作家さんが描いたものや著名人が着用したデザインのものは600万円以上することもしばしばです。

購入のハードルが高い、という方はレンタルすることもあるかと思いますが、レンタルの相場としては、振袖で大体40〜80万円、訪問着で10〜30万円前後でレンタルが可能です。

今流行りのインクジェットプリントの着物であれば、数万円から購入が可能なので、加賀友禅の着物が高級品として扱われる理由がわかります。

着物女性イラスト

金沢着物女子

加賀友禅と一括りにしてもそんなに値段が違うんだね!

インクジェットプリントと加賀友禅などの友禅染めなどの染め方の違いについて知りたい方は、下記の記事で詳しく説明しているので、併せて読んでいただければと思います。

なぜその値段なのか

それでは、なぜそんなに値段が違うのか、ついて大きく3つに分けて説明していきます!

友禅作家による『手描き染め』

加賀友禅を作成する人は、友禅作家と呼ばれる人のみが作成できるものになりますので、その時点で制作できる人が限られているため、値段が高騰しやすい傾向にあります。今回友禅作家さんについての説明は省きますので、気になる方は下記記事に記載があるため、こちらを読んでみてください。

その友禅作家さんが1枚1枚制作する際に『手描き染め』で作業を行うため、非常に時間と技術が必要になります。

手描き染めというのは、文字通り柄1枚1枚の紙に図案を書き、手作業で描き出す染めの技法です。まず、筆を使って生地に下絵を描き、隣り合った色が混ざらないよう糸目糊を置き防染してから、刷毛で色を入れて染めます。

友禅作家さんは、定規や補助的な機械などを使って効率的に出来る部分もあえて手描き工法にこだわっています。全て手作業で時間をかけて創作するというのは作業時間を有してしまいますが、全て手作業にこだわるからこそ、繊細で緻密な味わい深い作品が出来上がります。

友禅作家が友禅染め作業をしている写真

製造工程の長さ

その手描き染めを行う上でも、何と言ってもその製造工程の長さが非常に長いことで有名です。工程を分けるとなんと12工程に分かれており、完成までに1,2年の歳月をかけることはざらにあります!

簡単に製造工程も説明していきます。

1.図案作成

作品の構想からサイズを決めて、先ず最初は模造紙に鉛筆やペンを使いデザインを描きます。この段階で友禅作家さんは、どう人が着用するか、どういう仕上がりになるか、をイメージしながら作業するため、最も重要な作業で友禅作家さんが最も苦労する作業とされています。

2.仮仕立て

白生地を、『袖(そで)』『衿(えり)』『身頃(みごろ)』など着物の形に裁断して仮縫いをします。生地には、京都の『丹後ちりめん』や滋賀の『浜ちりめん』、石川県産の絹などが使用されます。

3.下絵

ガラステーブルの上に図案、白生地を重ねて下から照明を当て、『青花』と呼ばれる露草の花の汁を用いて線を写し取ります。青花は後工程で水ですすぐことで消えてしまうため、次工程以降の印として使用されます。

4.糊置き

下絵の線に沿って、もち米の粉を蒸して作った糊を紙の筒に入れて絞り出し、下絵の線に沿って細く糊を引きます。これは『糸目糊(いとめのり)』と呼ばれ、次工程で挿す染料がにじみ出さないよう防波堤の役割を果たします。

この⽷⽬糊置きの出来栄えが友禅の仕上がりを左右する工程となり、『下絵三年糊置きハ年』とまで言われるほど重要な⼯程です。

糊置き
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金沢着物女子

小さい頃、体験で友禅を作ったけど糊の出る量で線の太さが変わって細かいデザインを描くのがとても難しかった記憶が。。。(笑)

5.地入れ

⽷⽬糊を布にしっかりと定着させるために、裏側から薄い豆汁(ごじる)か薄いふのりを塗ったあと火で乾燥させます。この作業により下絵の青花を消し、糸目糊を生地に接着することができます。

6.彩色

糊を引いた輪郭の内側に、筆や刷毛を使ってさまざまな色を色を挿していきます。その際、加賀友禅の特徴でもある『加賀五彩』と言われる、藍、臙脂(えんじ)、黄土、草、古代紫の5色を基調とし、時代の好みや作家自身の個性を反映させて全体の配色を決めており、色そのものが友禅作家の腕の見せ所です。

その他にも『外ぼかし』や『虫食い』と言った独自のデザインも施されていきます。

7.下蒸し

彩⾊が完成して完全に乾燥してからは、⼀度⽊枠などから外し、⾼温の蒸気を発生させる蒸し器を使用し、約30分間蒸すことで⾊の定着をさせる作業です。

8.中埋め

次の地染めの前工程となり、もち米から作った柔らかい糊で模様全体を塗りつぶす作業です。この作業を行うことで、彩色した部分に地色が入るのを防止し、生地全体を鮮明な色で保つことができます。

9.地染め

『引き染』ともいわれ、刷毛を使って着物の地色を染める工程です。着物全体の色を地色と呼ばれるように、着物全体の色を決める作業のため、非常に重要な工程です。平均にむらなく染めるには、刷毛に含ませる染液の量や、刷毛を動かす力が一定でなければならず、集中力と熟練を要します。

10.本蒸し

地染めが乾いた後、最後に蒸し器に入れ1時間程度蒸す作業です。蒸気にかけることで繊維が膨張し、生地の表面の染料を定着させることができます。

11.友禅流し(水洗い)

流水で糸目糊や染色した部分の糊など、余分な染料を洗い流す工程です。自然の川に反物を広げる『友禅流し』は冬の金沢の風物詩として有名で、今でも浅野川という川で作業を行っているところもありますが、現在は染色団地の人工の川で行われることがほとんどです。

友禅流し
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金沢着物女子

浅野川で行われる友禅流しは本当に綺麗!一度は皆さんにもみて欲しい!

12.仕上げ(湯のし)

友禅流しを終え乾燥させた生地は縮んでいるため、蒸気を使って布を最初の状態に戻す作業です。最後にシミなどがないか確認すれば完成!

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簡単な説明を読んだだけでもかなり大変だと分かった。。。加賀友禅はこんなにいろんな作業を手作業で行っているんだね!

販売する地域

最後に値段が上がる要因である、販売する地域について説明します!

この記事の冒頭に加賀友禅の販売価格が100万円前後と記載しましたが、これはあくまで我々の地元金沢での販売価格になります!

販売する地域でそんな大きく変わらないのでは?と思うかもしれませんが、東京や京都といった都心部で販売される加賀友禅であれば、出店している立地が良いため、出店費用や人件費などが上乗せされ、高額な値段での販売が多くなりやすい傾向にあります。

その点、石川県で販売している我々濱上呉服店のような地域に根ざした呉服店であれば、同じ振袖でも東京と比較し、100万円以上販売値段の差が出るケースもあります!

そのため、加賀友禅などの高級呉服の購入を検討される際は、その点も踏まえてご検討いただけるとより安価に品質の高い着物を購入できるかもしれません!

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金沢着物女子

意外と販売する地域で100万円以上も変わるんだ!ちゃんとチェックしなくちゃ!

濱上呉服店の公式HPにも加賀友禅の商品一覧がございますので、気になる方はこちらからご確認ください。

まとめ

加賀友禅の値段やなぜその値段になるのかについて説明しましたが、加賀友禅の着物であれば、友禅作家さんが丹精込めて1枚1枚手作業で制作しているので、間違いないかと思います!

ただ、販売地域によって価格がかなり変動するケースが多いので、我々のような金沢に根付いた呉服店でどういった加賀友禅を取り扱っているのか、販売価格はどの程度なのか、についても購入の際は検討材料としていただければと思います!

何か気になることがございましたら、お気軽にお問い合わせください!

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