着物や振袖の『友禅』の特徴や種類とは?京友禅など有名友禅4選

- 友禅とは何か知りたい方
- 友禅の種類や違いについて気になる方
- どの友禅が良いか比較したい方
京友禅や加賀友禅といった有名な友禅がある、というのは皆さんもご存知かと思いますが、実際に何が京友禅、加賀友禅なのか、と言う点については、何となく理解している方も多いかと思います。
また、そもそも友禅ってなに?と言う方も多以下と思いますので、是非最後まで読んで友禅について詳しくなっていただけたら嬉しいです!

金沢着物女子
何となく高いっていうイメージがあるんだよね、、
友禅とは
まず初めに、友禅(ゆうぜん)について説明します。
友禅とは、日本の伝統的な染色技法の一つで、特に着物や振袖に用いられる美しい模様を作る染め技法の一種です。
この技法は、江戸時代後期に京都の扇絵師・宮崎友禅斎によって確立され、主な特徴は、多彩な色使いと繊細な模様で、友禅作家と呼ばれる職人が自ら手描きで染めたり、型を使って染めることで、一枚一枚丁寧に作られます。
これにより、華やかでありながらも上品な仕上がりが実現されます。
友禅は日本三大友禅と呼ばれる『京友禅』『加賀友禅』『東京友禅(江戸友禅)』が世界的にも有名ですが、その3つに見劣りしない『十日町友禅』という友禅もあります。この4つの友禅のうち、どの友禅好みか比較してもらうために、『歴史』『特徴や技法』の観点から説明していきます。

金沢着物女子
日本三大友禅は知っていたけど十日町友禅は知らなかった!
京友禅について
友禅といえば『京友禅』と言われるほど京友禅の知名度や人気があるかと思いますので、まずは京友禅について説明していきます!
歴史
京友禅は、友禅の発祥の地である京都で生まれた染色技法です。
江戸時代に宮崎友禅斎という扇絵師が生み出した染織品が京友禅で、元々扇絵師で使用していたデザインと染めを融合させたことが、友禅染めの発祥と言われています。
江戸時代になると戦がなくなり、世の中全体が芸術などに興味を持ち始めたため、時代とともに発達した、という背景もあります。
その中でも京都は、日本の京都として、日本の文化と芸術の中心地であり、その洗練された感性が京友禅の発展を支えました。
1976年には、経済産業省指定伝統工芸品に指定されています。
特徴や技法
京友禅の特徴としては、金糸や銀糸などの糸を用いて刺繍や金箔などの加工が施されている点が一番の特徴です。
また、手描き友禅が主流で、職人が筆で描く細やかな模様と豊かな色彩も特徴です。
加賀友禅では『加賀五彩』と呼ばれる5色を基調とした色使いに対して、京友禅は、特に基調に色が決まっていないため、より職人独自の色彩感覚や独自性が重視され、着物全体の華やかさが増します。
これにより、重厚感と高級感があり、見る人を魅了する美しさが生まれています。
加賀友禅について
次に加賀友禅について説明していきます!

歴史
加賀友禅は、石川県金沢市を中心に発展した染色技法です。
15世紀ごろから歴史は始まっていましたが、18世紀に入り京友禅の宮崎友禅斉が加賀独自の染色技法を改良し、加賀友禅が生まれました。
そのため、京友禅も加賀友禅も、祖は宮崎友禅斉ということになります。
その後、友禅作家である木村雨山(うざん)が、加賀友禅作家として初めて重要無形文化財保持者(人間国宝)に指定されたことで全国的に有名になり、1975年に伝統産業工芸品に指定されています。
特徴や技法
加賀友禅の特徴は、その写実的な描写と落ち着いた色彩にあります。
自然界の花鳥風月をリアルに描き出す技術が特徴で、特に花々や動物を細やかに表現しています。
色使いも独特で、先ほど記載した『加賀五彩』と呼ばれる、藍、臙脂(えんじ)、黄土、草、古代紫の5色を基調として描かれています。
また、独自の技法として模様の外側から中心に向かってぼかしていく『外ぼかし』や、あえて葉に影や濃淡をつけることで虫に食われた葉を表現する『虫食い』と呼ばれるような技法が特徴的です。
外ぼかしとは逆に、京友禅では内側から外側に向かってぼかしていく技法が主流のため、京友禅と加賀友禅の違いとしても有名です。
加賀友禅について、さらに詳しく知りたいという方は、こちらで解説していますので、併せてご確認ください。

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京友禅と加賀友禅でぼかし方が違うのは面白いね!
東京友禅(江戸友禅)について
次に京友禅、加賀友禅に並んで日本三大友禅になる、東京友禅(江戸友禅)についてです。

歴史
東京友禅(江戸友禅)は、江戸時代に江戸で発展した友禅染めです。
江戸幕府開設の際、大名や染め師、絵師などが京都から江戸に移り住んだことで発展し、江戸の町民文化とともに成長しました。
また、この東京友禅も京友禅や加賀友禅同様に、宮崎友禅斉が始めた、という説もあります。
ただ、京友禅や加賀友禅とは異なり、東京友禅では、庶民の手に届く手軽さや町人文化を重視しながらも、都会的な洗練されたデザインが特徴です。
特徴や技法
江戸友禅のデザインには、『磯の松』や『網干し』『千鳥』などがありますが、どれも江戸の侘び寂びや町人文化の粋が特徴的です。
現代では江戸の粋に加えて、東京らしいモダンさが加わったデザインも作られるようになりました。
また、染め技法として代表的なものは『白上がり技法』です。
渋い色と白色の濃淡をつけることでデザインの立体感を生み出す技法になります。
十日町友禅について
あまり新潟の十日町友禅を知らなかった方もいるかと思いますが、今現状では日本三大友禅に並んで流通している友禅になります。

歴史
十日町友禅は、新潟県十日町市で生産される友禅染めです。
十日町は、1000年以上前から織物の産地として栄えており、元々は麻織物が主流で、江戸時代には幕府にも献上されていた特産品として有名です。
その後、絹織物が日本に普及したことで、昭和30年代には友禅染めが導入され、京友禅や加賀友禅に遅れをとったものの、技術を取り入れつつ、柔軟に独自のスタイルを変容していき、十日町友禅ブランドが確立されました。
特徴や技法
十日町友禅の一番の特徴は、時代の流れに合わせて伝統的な技法と現代的なデザインが融合してきた点で、他友禅と比較してもバリエーションが豊かです。
それを確立できた理由として、完全分業制の京友禅や作家主体の加賀友禅・東京友禅と異なり、『織り』や『染め』『刺繍』といった作業全ての工程をひとつのメーカーで行う一貫生産システムです。
そうすることで、バリエーション豊かな着物でも高品質を担保することができている友禅染めです。

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あまり十日町友禅って聞いたことなかったけど色々見てみたい!
まとめ
これまで紹介したように、友禅には『京友禅』『加賀友禅』『東京友禅』『十日町友禅』といった多様な種類があります。
それぞれの友禅で、歴史、技法、デザインなどに違いがあり、選ぶ際のポイントも異なります。
華やかで豪華な京友禅、落ち着き趣がある加賀友禅、洗練された粋な東京友禅、現代的な十日町友禅。
それぞれの魅力を知ることで、自分に合った一着を選ぶ手助けになるでしょう。
また、成人式の振袖を選ぶ際にも、どの友禅を選ぶかでその日の装いが大きく変わりますので、特別な日を彩るために、ぜひ自分の好みやシーンに合わせて選んでください。
伝統と現代の融合、美しさと機能性のバランスを見極めて、自分らしい装いを楽しみましょう!
濱上呉服店では、京友禅と加賀友禅、十日町友禅を取り扱っておりますので、是非一度みに来てみてください!

