着物の染め方で見た目や価格が全く違う!3つの染め方と見極め方

- 着物にはどんな染め方があるか気になる方
- 着物を選ぶ基準について知りたい方
- 染め方の違いによる着物の価格差が気になる方
- 手染め/型染め/プリントなどを詳しく知りたい方
- インクジェットプリントは良いのか気になる方
着物の染め方といえば、友禅染めや絞り染めと聞いたこともあるかと思いますが、近年ではインクジェットプリントと呼ばれるような染め方も出てきて、色々な染め方がありますので、詳しく説明していきます!
染め方1つで購入価格が数百万円以上違うこともあるので、購入やレンタルなどを検討する方は是非読んでみてください!

金沢着物女子
染め方で数百万も違うの!?何となくしか知らないから知っておいて損は無いね!
着物の染め方は大きくは3つある
振袖の種類は大きく分けて3種類あります!
基本的な違いになるので、大前提として覚えておくと違いが分かりやすいです。
手描き染め
まず1つ目が『手描き染め』と言われる染め方です。
手描き染めは、文字通り柄1枚1枚の紙に図案を書き、手作業で描き出す染めの技法です。まず、筆を使って生地に下絵を描き、隣り合った色が混ざらないよう糸目糊を置き防染してから、刷毛で色を入れて染めます。
手描き染めの代表例としては、加賀友禅や京友禅といった『友禅染め』があります。友禅職人として認められた高い技術を持つ職人のみが描き上げるため、着物の木目の細かさや高級感が漂い、他の着物よりも見た目が非常に艶やかになります。
ただ、量産することが難しく、手描き染めの着物は価格が50万円以上と、高価な着物として取り扱われています。

型染め
次に紹介するのが『型染め』と言われる染め方です。
型染めは、型紙を使用して染める技法で、型を使用して染料を入れる方法と、模様を彫った型紙を置き、さらに防染糊(ぼうせんのり)を置いて彩色する方法の2種類があります。後述の方法ですと、型紙を使用し生地に細かな模様をつけることができ、1枚の型紙で複数の着物を染められるため、手描き染めに比べると量産できます。そのため、手描き染めよりも若干価格も抑えられ、30万円前後から購入が可能です。
型染めの代表例としては、江戸小紋(こもん)や紅型小紋(びんがたこもん)があります。

インクジェットプリント
3つ目は『インクジェットプリント』と言われる染め方です。
インクジェットプリントは、近年流行している染め方で生地に直接プリント印刷する染め方です。手描き染めや型染めと異なり、生地の表面をプリントするため、生地の裏が白いことがインクジェットプリントの特徴となります。
ただプリント染めといえど、近年技術の進歩により、細かく繊細な模様もきれいにプリントできるようになってきており、価格も手描き染めや型染めと比較しても数万円から購入可能で安価なため、成人式で振袖をレンタルする方の多くがインクジェットプリントの振袖を着用するケースが増えています。

金沢着物女子
こうみると価格の兼ね合いもあって段々と制作に手がかからない着物が流行ってきてるんだね
手描き染めの種類
徐々に制作に手間がかからない着物が多く流通する時代になってきていますが、やはり今でも手描き染めの着物の需要は高く、様々な染め方で制作されています。
その中でも代表的な染め方を3つ紹介していきます!
友禅染め
先ほど手描き染めの代表例として取り上げましたが、やはり手描き染めで最も代表的なのが友禅染めです。
友禅染めは、防染剤(伏せ糊)を置くことで色が混ざり合わずに多彩な色使いで複雑な模様を描き出すことができます。友禅染めは大きく3つに分類され、京都の友禅染めを『京友禅』、石川の友禅染めを『加賀友禅』、東京の友禅染めを『江戸友禅(東京友禅)』といいます。
京友禅は、雅やかなデザインや はんなりとした美しい雰囲気が特徴で、自然文様のほかにも有職文様(ゆうそくもんよう)も多く取り入れられ、金箔や刺繍を合わせる技法も多く使用されます。
加賀友禅は、加賀五彩と言われる藍、臙脂(えんじ)、黄土、草、古代紫の5色で写実的な絵柄を描くのが特徴で、外ぼかしや虫食いといった独特な技法を用いられます。


金沢着物女子
やっぱり友禅染めは京友禅と加賀友禅が有名だね!
詳しくはこちらの記事で加賀友禅について紹介しているので、併せて読んでみてください!
絞り染め
絞り染めは、日本で最も古いとされている染めの技法と言われており、生地の一部や全てを糸で縛ったり、縫い締めたり、板で挟んだりすることで、生地に染料が入らないことで文様を染め出す技法です。
絞り染めの中にも『鹿の子絞り』や『有田・鳴海(なるみ)絞り』『総絞り』といった技法があります。
また、絞り技法は非常に手間隙のかかる技法になるため、絞り加工メーカーで最高峰とされる愛知県名古屋市にある『藤娘きぬたや』で制作された振袖は、300万円を超えることもあるほどです!

詳しくはこちらの記事で絞り加工について紹介しているので、併せて読んでみてください!
紬(つむぎ)
紬は、糸の段階で染色する先染めの着物で、紬糸を織り上げて作られる絹織物です。
意図の段階から染色する『先染め』は、白い生地から模様が染められる『後染め』と比べて時間もコストもかかり大変な作業になりますが、糸を1本1本を染めてから織り上げているため、着物自体の色落ちや劣化が少なく、耐久性に非常に優れているのが特徴です。
耐久性に優れているため、普段着からおしゃれ着まで幅広く使用されていますが、基本的にはフォーマルな場では着用しないのが一般的とされています。
紬の中でも代表例とされるのが、『結城紬(ゆうきつむぎ)』や『大島紬(おおしまつむぎ)』『牛首紬(うしくびつむぎ)』が挙げられ、紬の中でも高級品として知られています。


金沢着物女子
手描き染めの代表的なものだけでも結構違うね!
インクジェットプリントは良いの?
これまで手描き染めの良さを記載してきましたが、この記事を読んでいただいている方の中には、インクジェットプリントの着物は大丈夫なのか、気になっている方もいると思いますので説明していきます!
インクジェットプリントのメリット
結論、インクジェットプリントの着物は、『着物をとりあえず着たい』という人にはメリットが多く良い選択だと思います!
手描き染めと型染めと比べ、生地やデザインの品質が劣るため、見た目の高級感が無くなりますが、価格が安くリーズナブルに着物を着るにはうってつけです。
インクジェットプリントのデメリット
ただ、デメリットとしては、インクジェットプリントの着物は量産して多くの方に購入、レンタルしてもらうことが目的のため、成人式や卒業式といった人生で1回しかないタイミングで他の人と全く同じ振袖になるケースも多い点です。
染め方で着物を選ぶ基準
様々な染め方の特徴とメリットデメリットを説明してきましたが、染め方で着物を選ぶ基準も併せて説明していきます!
どういうシーンで着るか
この点は非常に重要です!
先ほど記載したように着物を着るシーンは、一番早くて成人式または友人や親戚などの結婚式が挙げられます。その後は卒業式やお茶会、パーティーといった催しの際にも着用する場合もあるでしょう。
特に人生で1回しかない成人式や卒業式といったタイミングでは、できれば手描き染めや型染めといったしっかりとした着物を選ぶことが良いと思います。
お茶会やパーティーなどであれば、雨が降っていることもあるかと思いますので、そのタイミングではクリーニングしやすいインクジェットプリントの着物を着るのも良いです。
こういったどういうシーンか、は重要ですので購入やレンタルを検討する際は、頭に入れておいて損は無いと思います。
価格
次の基準としては、『価格』面です。これは着るシーン以上に現実的な基準になってきます。
特に手描き染めや型染めであれば、購入すると数十万円〜100万円以上かかるケースもあります。そのため、とりあえず安価に済ませたい場合は、インクジェットプリントの着物一択になるかと思います。
ただ先ほど記載したように、人生に1回しかない節目のタイミングでどういう着物を着たい、着させたいか、と点も選ぶ基準に入ってくるかと思いますので、この2点を踏まえて皆様に合った着物を選択されることが一番です!

金沢着物女子
今流行っているインクジェットプリントにも良し悪しがあるんだね。どういう基準で着物を選ぶか悩むね、、、
まとめ
いかがだったでしょうか。
色々説明しましたが、最終的に選ばれるのは皆様の判断になります!
ただ、その判断を間違えないように一緒になって考えて最良の判断をしていただくサポートをするのは、私たち呉服屋の仕事だと思って毎日お客様と向き合っておりますので、何か気になることや分からないことがあれば是非一度お気軽にご連絡ください!


“着物の染め方で見た目や価格が全く違う!3つの染め方と見極め方” に対して4件のコメントがあります。
コメントは受け付けていません。